
これは20年以上前に私が実際に経験した話です。
当時、私が勤めていた職場で一番仲の良かった同僚の女性がいました。
その女性はとても真面目で温厚で笑顔がとても素敵な女性でしたが、
その時、彼女はヤクザの男性と付き合っていたらしく、
そのことでいろいろと悩んでいて私は度々相談にのってあげていました。
そんなある日、彼女から大事なお願いがあるということで、
近所の喫茶店に呼び出されて話を聞いてみると、
彼女が今付き合っているヤクザの男性が多額の借金をしていて、
そのために彼女の家にも借金取りが来るようになり、
申し訳ないけれど100万円貸してほしいということでした。
最初は断りました。
しかし、彼女は必ずお金は返すから信じて貸してほしいと、
人目もはばからずその場で泣きながら頭を下げてきました。
私にとって彼女はとても仲の良い大切な友人でしたし、
何より普段は真面目で温厚な彼女の初めて見せる切羽詰まった顔を見て、
私は何とか彼女を助けてあげたいと強く思い、
地道にコツコツ貯めてきた貯金を下ろして100万円貸してあげたのです。
しかし、それから1か月ほど経った頃、急に彼女は職場に来なくなりました。
職場のみんなが心配して何度も電話をかけましたが繋がらず、
彼女が住んでいるアパートに行った時にはすでに「もぬけの殻」でした。
その時、私は全てを理解しました。
もちろん、私はすぐに警察に相談に行きましたが、
「彼女を見つけてお金を取り返すことは難しい」ということでした。
私は信じていた彼女に裏切られたという気持ちと、
今まで頑張ってコツコツ貯めてきた100万円を失った気持ちとで、
頭の中がグシャグシャになり悔しくて悔しくて夜も眠れず、
私は彼女に対してとても大きな恨みと憎しみを持つようになりました。
その後の私は毎日彼女への恨みと憎しみの中で生きていました。
もし、彼女を見つけたらどのように復讐してやろうかと、
毎日そのことばかり考えて生活していましたから、
友人と遊んでいても映画を見ていても何をしていても楽しくありませんでした。
そんな時、友人の1人に言われたのです。
「最近のあなたはいつも怖い顔をしている」
「前のあなたは今みたいに近寄りがたい雰囲気ではなかった」
その言葉を聞いて私は初めて気づいたのです。
ずっと恨みや憎しみを持ち続けていても苦しいだけで、
これではいつまでも自分が幸せを感じることはできないと。
その時、私は初めて彼女への恨みや憎しみを手放すことにしたのです。
それは別に彼女がした行為を許したわけではありませんでしたし、
その出来事を忘れることにしたわけでもありませんが、
自分の心の平和のために恨みや憎しみを捨てたのです。すると、今まで恨みや憎しみでパンパンになっていた自分の心が、
まるで大きな風船がしぼんでいくようにスーッと軽くなっていくのを感じました。
あれから20年以上の月日が経ちました。
今ではもう貸したお金を取り戻したいとは全く思っていませんし、
今彼女は罰が当たり不幸になっていればいいとも思っていません。
むしろ、今彼女が幸せになっていればいいと思っています。
しかし、それは別に私が彼女のした行為を許したということではありません。
ただ、私はもうそのことには執着していないということです。
あの時、私は彼女のためではなく、
自分自身のために恨みや憎しみを手放して終わらせたのです。今日も一日、良い思考で良い波動を
【応援してくれる方に心から感謝します】



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